牧野邦夫 素描 展
2017年9月22日(金)~10月1日(日)
AM10:00~PM7:00 9月27日(水)定休日
四国は伊予、西条の「ギャラリーかわにし」で牧野のデッサン展を開催していただけることになった。牧野の作品が西の方へ行くのは1991年に尾道市立美術館での遺作展と1997年の広島のギャラリー以来となる。ギャラリーかわにしの塩出さんは牧野のファンであったと仰り、亡くなって31年も経つのに想い続けていただいたことに感謝しかない。
絵を描くことしか出来なかった不器用な牧野の生きた時代は「写実」に対してあまり好意的な時代ではなかった。絵画にも流行があり、人は敏感に時代を映すものを作る。それでも人のこころはきっと時代を超えた通奏低音を聴いている。牧野が描き続けた「人間」はどのように感じてもらえるだろうか多くの方に見て頂けるよう願うばかりである。
牧野千穂
画家牧野邦夫に片想いして31年。
彼の作品は、東洋的世界と中世の西洋を往還する「人」を、卓抜した写実力で幻想的に描いています。初見来、僕の頭の一部に彼の美神が住み続けているのです。見る人を圧倒してやまない彼の絵は、自分だけの井戸を掘り続ける、と時代に左右されることなく一日12時間、描き続けた中から生まれたものです。牧野邦夫は現在、日本の美術史の中に位置づけられようとしています。古臭い、と片付けていた大方の美術関係者の怠慢も今となっては許していいでしょう。優れた作品は、古く見えても新しいものです。枯れることはありません。
作品を扱う中で、美術館で開催された主要な展覧会は見てきました。昨年4月、「牧野邦夫没後30年」に関する記念イベントが小田原市で開催。美術評論家の山下裕二氏の記念講演と千穂夫人との対談を拝聴。会場で千穂夫人にご挨拶させていただいたことが、今展開催のきっかけになりました。いくつかの縁に恵まれましたが、何より感謝すべきは、千穂夫人が、私どもの牧野邦夫への片想いの告白を受け入れてくださったことです。現在、牧野作品を鑑賞できる機会はほとんどありませんが、代表作ともいえる作品が、これも所蔵家のご厚志で出展されます。
この機会に、ぜひともご高覧いただき、作品と対峙してみてください。牧野邦夫の世界に足を踏み入れると美の真実の形が見えてくると思います。
最後になりましたが、私どもの無理な告白をお聞き届けくださいました、千穂夫人に心より感謝申し上げますとともに御礼申し上げます。
そして、貴重な作品をお貸しいただきました所蔵家の方々に厚く御礼申し上げます。
2017年9月 ギャラリーかわにし 塩出 洽