安藤義茂 京都で百子と

080914

百子は安藤が八幡市で教師をしていた頃弟子になり、毎年、夏と冬に京都から彼の元へ指導を受けに熱心に通い、崇敬と思慕の念を深めていた。
百子の彼の才能に対する思い入れはすさまじく心酔しきっていた。そのため彼を一流以上の画家にするためのあらゆる労は惜しまなかった。
ただ、安藤から結婚の申し込みがあったころの状況は百子から考えると躊躇せざるを得ないものだった。
収入不定で財産は無く、先妻の5人の子どもと未婚の弟妹二人、年老いた両親の存在などいざとなれば全てを抱え込む決意が必要だった。