東京へ孫を連れて帰ったり、納骨に親族が一同に集まったりと、先の連休を利用してそれぞれ大役を終えた友人たちです。連休中に会ったM氏は「マルセル」を読んでいますとのことでした。 1968年京都国立近代美術館で開催中の「ロートレック展」最終日の朝、会場から「マルセル」が盗難にあいました。時効後の1976年1月に「マルセル」は還ってきたのですが事件は謎のままです。当時取材に当たった毎日新聞社の記者から預かった取材資料をもとに高樹のぶ子氏は構想をまとめました。本作中、京都の画廊主として登場するモデルを見知っているM氏は実際の画廊主の彼氏とほど遠い人格なので戸惑っていました。その画廊主モデルになった蔵丘洞の岡さんよりいただいた「マルセル」です。「俺、犯人とちゃあうからな」と言いながら本を渡してくれました。 尚、高樹のぶ子氏は執筆にあたり「マルセル」を所蔵しているフランスのアルビ美術館まで出かけましたがタイミング悪くスペインの美術館に貸し出し中でした。それでもスペインまで追いかけて「マルセル」に会ってこられたのでした。